この動画アニメは「まるちょさん」の作成したものです。
         SCOTTISH  DANCE
 
                                                            
 最近パーティー等で踊られているスコティッシュ・カントリー・ダンス(以下、「SCD」と省略。)は、アメリカの踊りであるバージニア・リール、オー・エックス・オー・リール等のように踊られているのが現状のようです。確かに、フォークダンスは楽しむため簡易になった踊りも多々ありますが、私たち指導者は、体が思うように動かなくとも、基本は頭の中だけには入れておきたいものです。     SCDもスクエア・ダンス、ラウンド・ダンス等のように、基本的なステップや動作を覚えれば簡単に踊ることができます。現在のパーティーでは、51師団リール、エイト・サム・リール、J.B.ミルン、レッド・ハウスなどの数曲程度しか踊られなくなっていますが、SCDは、踊れれば楽しいのでたくさん覚え、踊りましょう。
 このテキストは、第1章総論として、SCDの歴史、踊りの概略、音楽とコスチューム、第2章SCDの基本として、特徴と隊形、踊りの表現、テクニック・ステップとフォーメーション、第3章踊りの例を記述しています。
 
第1章 総 論 
 
1 SCDの歴史について
 
 紀元1世紀、ローマ帝国の全盛時代、イングランドからスコットランドに攻め込んだローマ軍は、岩石の多い変化に富んだ山々を縦横にかけめぐる山岳高地人の強烈な抵抗に遭遇し、征服する計画を断念したという記録がローマ側に残されており、これがスコットランドが世界の歴史に現れた最初でした。彼等は、好戦的で勇敢きわまりないスコットランド人をたたえるのみならず、スコットランドの奇妙なダンスを言及し「剣や槍を用いた豪快なダンス…」と記録しています。
 ローマ軍の引上げ後、スコットランドなどは7世紀頃までにそれぞれの王国を建立しました。11世紀頃には現在とほぼ同じスコットランド地方を、スコットランド人の王国が統一し、そのころから、この国はスコッティアと呼ばれるようになりました。
1066年イングランド人のノルマン王家征服に際し、スコットランドは、ノルマンと対立するアングロサクソンの旧王家を助けたため、以降ノルマン王家との間に長い抗争を続け、それ以降、宿命的なスコットランドとイングランドの対立が続きました。
 悲劇的な最後を遂げたクィーンメリーの時代になると数多くのダンスの奨励がなされ、フランスからのバレエの影響などもあり、ますます盛んになりました。
 スコットランドの踊り、キルトが全盛を極めるかにみえました‥‥‥千余もの昔からスコットランドの女たちが夫や息子のために織り続けたタータンが‥‥‥
 自然色から生れたタータンは、その土地土地によって別々の模様を持っています。スコットランドではそれはまた、その土地に住む血のつながった一族の「紋」でもありました。女姓たちは夫や息子のために、タータンでキルトを織りました。戦いの日や祭りの日など男たちは、その日のために新しく縫い上げられたキルトで、誇らしげに盛装しましたが、そこから悲しいキルトの歴史が始まったのです。 
 スコットランドとイングランドのハノーバー家はスコットランドのスチュワート家をしりぞけて、ユナイテッド・キングダム(United Kingdom)を作り上げたのです。統一後もスコットランドの反乱はつづきました。反乱の中心になったのはいつもハイランド部族でありました。
 1946年の浅春、ハイランドの17部族は、スチュワート家のチャールズ王子を擁してきたスコットランドのクロードンの地に反乱の軍を起こしました。4月の灰色の空の下、荒地を東へ一昼夜、休みなく行進した反乱軍は、さすがに疲労していた。それをカンバーランド公が率いるハノーバー軍の新鋭18門の大砲が迎え撃ったのです。敗走した兵士たちが肩にまいて故郷の山を後にしたであろうタータンのブレイドが踏みにじられ、血にまみれて残されていた。ここにタータンは滅びた。
 勝者の会議は、ハイランド部族に武器の所持と部族の私兵を禁止し、その忠誠・団結の象徴となったタータンの着用を法をもって禁じました。ハイランドの人々は一人残らず武器とタータンの着用を放棄する誓いに署名しなければなりませんでした。その誓いは「最後の審判の日、私は誓います。以降、鉄砲、刀剣、その一切の武器を所持せぬこと。もしこの誓約を破ったときは、持物一斉を没収され、卑怯者として殺され、弔われることなく、先祖伝来の墓から遠く離れたへき地に放棄されることをいといません。」である。すなわちスコットランドのタータンは亡びゆくかにみえたのである。
 女たちの手で生みだされたタータンは、その色、その縞も祖母から母へ、母から娘へと、口から口、手から手に伝えられてきました。織ることをやめなければならなかったタータンは、老人たちの死とともに忘れ去られかにみえた。
 しかし、タータンは亡びませんでした。禁止令から60年経った1782年、統一大ブリテン王と議会の名のもとにタータンは甦ったのです。再び生命を得たタータンは、そのころのヨーロッパを風靡していた。きらびやかなフランス宮廷風俗の影響もあっ、華やかに復活しました。この鮮やかなデザインは、ハイランダー以外の人々の心をもとらえ、織物工場は多彩なタータン・チ
ェックを織って売り出しました。
 その最大のプロモーターは、「リージェント・スタイル」の名を残したお洒落な王様ジョージ4世と、7つの海を支配した大英帝国に君臨したヴィクトリア女王であろう。
 現在、スコットランドの紋章局ライオン・コートには、集められる限りの資料をもとにしてタータンが600余り登録されています。もう村をあげて戦いや猟に出ることはなくなりましたが、スコットランドの人々は今も祭りに、祝い事に『うちのタータン』をはいて集まります。
 エジンバラ、グラスゴーでは年に何回かのダンスの競技があり、貴族も平民もみんな会して行われています。
 我々は、イギリス イコール イングランドと考えがちであるが、イングランドとは[アングロサクソンの国]という意味を持ち、現住のケルト民族の住むスコットランドとは、社会、民族、言語、生活様式も異なっています。イギリスすなわちUnited Kingdomはそうした国々の集りです。一般にイングランドを象徴してとらえがちであるが、今なお、イングランド人とスコットランド人の間には相いれない関係があるのです。それはこうしたイギリスの歴史がはっきりと物語っております。
 参考文献「HIGHLAND DANCE」、「世界歴史事典」、「世界文化地理大系」、「世界風俗大系」、「百科事典ビクトリア」など
 
2 スコットランドの踊りの概略
 
 現在のスコットランドで伝統的に踊られているものは、大きく別けると、カントリーダンス (Country Dance。略してS.C.D)とハイランドダンス(Highland Dance)の2種があります。その他のチェーンの踊りや他のヨーロッパ諸国にあるようなカップルダンスなどはほとんど残っていないようです。S.C.Dとハイランドダンスは、バレエの影響を受けている点と、使われている音楽は同じですが、性格は非常に異なる踊りです。特に前者は社交性に富んでいます。
 S.C.Dは民衆にも王室にも、あらゆる階層の人によって楽しまれ、世界各国で踊られるようになってきました。また、S.C.Dはイングランド生れのカントリーダンスと、スコットランド固有のリールという舞踊、それにバレエの影響が加わって形成され、王室SCD協会(RSCDS)の働きによって現在の姿にまで発展してきました。
 ハイランドダンスはスポーツや音楽演奏などと共にハイランドゲームの大切な種目です。ゲームは、その昔ハイランドに住む部族(クラン)たちによって始められ、今日では民衆の踊りとして盛大に行われております。昔はクランたちによってダンサーが養成さましたが、今では子供の頃から踊りの学校で教育を受け、ハイランドゲームに出る場合が多いようです。クランの間で育てられたハイランドダンスは、ゲームによって洗練され、今日のようになりました。
 RSCDSの創立者は、スコットランドのダンスが忘れさられ、また粗野なマナーが形成されつつあった状態から、スコットランドのダンスの持つ本当の楽しさを、できるだけ良い形で復活させようとしたのである。
 スコッティッシュダンスの起源は、フランスのバレエにあり、そのマナーと優雅さは、フランスの宮廷に由来するものである。
 
3 音楽
 
〈リール〉2/4 or 4/4 拍子   =116あたり
  ストラスペイとともにスコットランドの代表的な郷土舞踊で、ストラスペイは緩く、リールは速い。そして非常に活発な感じをもつ。その音楽はストラスペイと同様に4拍子であるが、ストラスペイと異なる点はリズムが流れるように滑らかなことである。
〈ジグ〉6/8 拍子
  ジグは古くから英国、特にアイルランドで踊られていたダンスである。ジグはもともとマンドリンに似たイタリアの弦楽器の「ジガ」からきた曲名である。踊りとしては、「アイリッシュ・ジグ」という特殊なソロダンスもあり、上体を立てて15秒間に70回床をたたくという精力的に足を使う踊りもある。
〈ホーンパイプ〉
  2拍子系のものでリールやジグの踊りやリズムとよく似ているが何小節かのあとで タカ タカ タカ タカ タンタンタンという3つの強いしまりが出てくる。特にリール、ジグと変えなくてもよいが、これはホーンパイプで踊っているのだということを自覚して踊ることが大切である。最後の3拍子のところをその踊り方らしく自分で表現すれば、ホーンパイプの踊りの特徴が出せるのである。
〈ストラスペイ〉4/4拍子   =88あたり
  リールよりも、ずっとゆっくりした音楽である。ストラースとは、流れ、河流という意味で、ストラスペイとは、スペインの流れという意味である。河の流れのように、ゆっくりと優雅に流れてゆく音楽で踊る踊りである。ストラスペイはスコッチステップが特徴的である。
 
4 コスチューム
 
 イギリス北部、スコットランド高地の民族衣裳(ハイランドドレス)は、男性が派手な格子縞のひざ上の短いスカートを着用する珍しい風俗として世界中に知られている。これは、キルト(タータン格子の短いプリーツスカート)、ジヤケット、ベスト、くつ、ガーター、くつ下、タモシャンタンター(帽子)、スポーラン(皮革製かばん)とブレード(キルトと同じ格子縞の肩かけ)の組合せの衣装である。
 女性は、絹かタフタで作った白又は明色のイブニングドレス(イブニングドレス以外の時もある。)と、ブレイドである。
 
第2章 SCDの基本
 
1 特徴と隊形
 
 スコティッシュ・カントリー・ダンス(以下 S.C.D)は、同じ頃に宮廷でも同じようにあらゆる階層の人たちに踊り楽しまれた。「ソシアルダンス」であり普通のフォークダンスとは性格が異なる。そこでボールルームダンスにおいて好ましくない作法はすべてS.C.Dにおいても否定される。
 S.C.Dには次の3つの隊形がある。
   男女が向かい合って列を作る型−ロングウェイズ−大部分のものが4組対向のロングウェイズで踊られる。列の間隔は約1.8〜2 程度( 踊りによって適度にかえる)である。横は片手間隔、男子の左肩が正面に向くように位置する 。 セット全体の大きさはストラスペイの踊りの方が、リールやジグの時より大きい。
   サークルを作る型(例えば、Dashing White Sergentなど)
   スクエアを作る型(例えば、エイトサムリールなど)
 
2 一般的な踊りの表現
 
 上手にS.C.Dを踊るための注意点を上げてみる。
 
  チームワーク(teamwork)
  S.C.Dは、みんなで協力し、助け合って、はじめて美しく流れるような楽しい踊りができるのである。それぞれのポジションは、それ自身の重要性をもっており、アクティブの動きと同様な注意と研究を必要としている。それは、例えばアクティブの動きを助けるために、適切に手を差し出したり、リードしたりすることであり、またアクティブが新しい場所へ移るため のスペースをあけるためにムーブアップ(ダウン)することである。そしてこのような動きは、他人のためのマナーと思いやりをもってなされるべきである。
 〈例‥‥‥アクティブがセットの外側を通る時のムーブアップ〉
  1.進む方向の足を斜め横へステップ(ct 1)
  2.1の足の前へもう一方の足をクロス・ステップ(ct 2)
  3.1の足をセットのライン上にもどすようにステップ(ct 3)
  4.両足のかかとをそろえる(ct 4)
  このステップはつま先で軽やかに、そしてアクティブの動きにそって控えめになされるべきである。ムーブアップ(ダウン)する時は、パートナーと一緒に動かねばならない。
 
  フレージング(phrasing)〜フレーズの取り方
  これはステップが音楽に調和することである。
  ダンサーは、各小節を十分に使って踊らねばならない。そして動作はリズムにのり、途切れることなく、また速くも遅くもなく次のフォーメーションに移らなければならない。
 
  テクニック(Technique)
  良いテクニックとは、けっして目立つものではなく、全体的に美しい踊りを創り出す一部となっている。正確なステップ等のテクニックを身につけていれば思うままに踊れるようになり、見ている人に「なんて素晴らしいテクニックだろう」でなく、「なんて素晴らしいダンサーなのだろう」と思わせるのである。
  姿勢(Deportment)
  姿勢はS.C.Dの本質であり、正しいテクニックを身につけるためには、まっすぐな姿勢を保つことが重要である。この姿勢は力のはいった堅苦しさをさけ、バレエにみられる優雅さが強調される。
  手の使い方(Use of Hand)
  手は他のダンサーの動作を補助するために差し出される。手を差し出す時は、相手の気持ちを尊重せねばならない。手を差し出すことは礼儀であり、踊りの社交的な雰囲気をも増す。高すぎても、低すぎても、大げさにしてもいけない。正しいホールドは、”シェキング・ハンズ・ホールド(shaking hands hold)”である。連手には十分注意が払われねばならない。
  バウとカートシー(Bow & Curtesy)〜あいさつ
  これは、ダンスの始めと終りにコード(Chord)があり、前の相手に対する当然の敬意を表すものである。音楽に合わせて、リズミカルに、気どらないで行なう。
  バウ(男性)は、直立姿勢から背筋をのばし前傾する。その時腕は力をぬいて体側に下げる。 カートシー(女性)は、左爪先を右踵にタッチして上体はまっすぐなままでベントする。
 (また、右足を小さく右斜め前にステップし、左爪先を右踵にタッチする方法もある。)この間、お互いにパートナーを見る。
  女性は、カートシーの時及び長いスカートを着用して踊っている時は、スカートを持ってよい。スカートは親指と中指で持ち、肘はほとんどまっすぐに保ち、手首は少し前に曲げる。男性はパートナーをリードする時にそなえて手をフリーにしておく。
  ハッピースピリット( happy spirit )〜気持ちのよいマナー(心がまえ)
  ダンサーの表情や動作に、陽気な楽しさがみなぎり、常にパートナー及びチーム全体に心をくばることが必要とされる。
  良いマナーは、自然に身につくものであり、マナーが身につけば踊りは社交的で生き生きとしたものになる。
 
  音楽
  今までの要点を達成するのに、音楽の果たす役割はきわめて大きい。音楽はダンサーの気持ちをもりあげ、フレージングやチームワークを助け(に役立ち)1つのフォーメーションから他のフォーメーションへ導き、踊り全体を壮麗なフィナーレへと創り上げていく。
  音楽の速さは、踊りを支配する。音楽の適切な速さ(ストラスペイ =約84、リール =約116)で、演奏されてこそ、ダンサーがのびのびとした素晴らしい踊りを踊ることができる。
  素晴らしいスコットランドの踊りは、素晴らしいスコットランドのダンス曲、そして、それを演奏する素晴らしい演奏者に支えられている。
 
 
3 テクニック・ステップについて
 
 S.C.Dはフランスの宮廷の影響を受けているので、そのテクニックはバレエと密接に関係している。真のスコットランドの伝統は音楽、精神、そしてテクニックに存在する。
 S.C.Dの練習会では、ステップの練習から始め、そして第一に足の位置の注意深い学習がなされるべきである。
 
 つま先でステップを踏む時のポジションはわずかに異なっている。2ndにおいて左足のつま先は、右足のかかとのラインにおかれ、3rdにおいて左足のかかとは少し右足の甲の上にかぶさる。セットに立っているとき、足は第一ポジションである。
 
 スコットランドのダンスの音楽には、リール(Reel )4/4、ジグ(Gig)6/8、ストラスペイ(Strathspey)4/4、ワルツ(Waltz)3/4、などがあり、リールとジグは同一のステップが用いられている。
 
 S.C.Dには2つの主なステップの型がある。
《Step of progression》
 *リール(and ジグ)
   スキップ・チェンジ・オブ・ステップ(Skip Change of Step)
   スリッピング・ランニグ(Slipping Running)
 *ストラスペイ
   ストラスペイ・トラベリング・ステップ(Strathspey Travelling Step)
《Setting Steps》
 *リール(and ジグ)
   パ・デ・バスク(Pas de Basque)
 *ストラスペイ
   ストラスペイ・セッティング・ステップ(Strathspey Setting Step、Common Schottishe とも言う)
   ハイランド・ショティッシュ(Highland Schottishe)
     various Foursome Reel Seps
  ランニングステップとハイランド・ショティッシュ various Foursome Reel Stpsの説明は省略する。
 リールとジグ
 
(1)     キップ・チェンジ・オブ・ステップ
 
 読んで字のとおりのステップで、まず、左足をリフトしながらホップ(スキップ)○をしながら、右膝とトーを伸ばして前方〈4thポジション〉へステップ、左足の土ふまずを右ヒールの後にクローズ〈3rdポジション〉、更に右足を前〈4thポジション〉へステップ、以上を右足のスキップからくりかえす。
 大きく移動するときに使われ、移動はあくまで軽く楽しく流れるように、すべてボールで踊られる。足裏は床からほとんど離れない。
   スキップ・チェンジ・オブ・ステップは次の点に注意しなければならない。
    ○のリフト・ホップを決して忘れてはならない。この最初の動きが非常に大切である
    ひざと足首を十分に伸ばす
    ひざと足首を方向線に対して45°以上づつ十分に伸ばす
     のクローズでは後ろの足は前の足にかかとを押しつける
    腰が後ろに残ったり、ペコペコしてはいけない
    ステップをふむとき、床をこする音がしてはいけない
    足の抜きはすばやく行なう
    前進のステップであることを忘れず、音楽をよく聞き、流れるような軽快さを持ったステップを行なう
 
(2)     スリッピング・ステップ(又は、スリップ・ステップ)
 
 サークル体形で左への移動ではじまる。左足を左へステップ、右足を閉じる。これを8回くりかえし、次へ右足より右へ8回くりかえす。
 
   スリッピング・ステップでは次の点に注意しなければならない。
    トーは90度にきちんと開くこと。
    クローズでは、上げたヒールをつける。(なお、他の解説ではクローズの時に逆の足をカットする方法もあります。)
    手は肩の高さにとり、体と顔は常に円心を向くこと。
    8呼間目にきちんと止まり、右への移動にきりかえるために7呼間目後半からスピードを落とす。
    また、右へかわるとき、左足でホップが入りがちであるが、これは避ける。
 
(3)       パ・デ・バスク(パ・ド・バスク又は略してパデバと呼ばれることもある。)
 
 このステップは、前の2つより呼間をとることが難しい。4呼間に3つのステップを移動しないで踏みます。(右足を斜め右前第4インターメディエットポジション(4th Intermediate Position)へ伸ばす。)右足をすぐ横にステップ、左足を右足の前第3ポジション(左ヒールが右足の甲の上になる。)にステップ、右足を左足の後ろ第3ポジションにステップし、同時に左足を床からわずかに離して斜め左前第4インターメディエットポジションに伸ばす。左足を右足に引きつけるように戻して以上を左足から繰り返す。
 
   パ・デ・バスクでは、次の点を注意してください。
  ・ 3ビートであることに注意し、音楽に合うようにし、第1ビートでは柔らかくため込みを行うこと。
  ・ 膝及び足は、常に開く。特にキックしたときは、むしろ横に伸ばす位の気持ちで行い、その時、軸足も必ず開くこと。
  ・ 左右には移動しないこと。
  ・ 呼間の1、ト、2にときに、完全に足を踏みかえて体重を移すこと。
  ・ キックした足は、爪先まで伸ばすこと。
  ・ キックしたとき、軸足は曲げないこと。
 
(4)ストラスペイ
 
ア)ストラスペイ・トラベリング・ステップ
   優雅で流れるようなこのステップは、左膝を少し曲げながら右足を伸ばしてステップ、左足を右足の後ろ第3ポジションにステップ、両膝はまっすぐに伸びる、右足が再び前へステップ、このステップは前よりも小さく、残った左膝はしっかりと伸ばす。左足をゆっくり右踵の横を膝を曲げて通って、次に前に伸ばしながら右足で小さいホップをする。この最後、ステップとホップがそのまま右膝を軽く曲げて、次に左足からトラベリング・ステップになる。
 
イ)ストラスペイ・セッティング・ステップ
   セッティングステップ(Setting Step)、又はコモン・ショティシ(Common Schottishe)と言われる。トラベリング・ステップとほとんど同じであるが、前に進まずに、横に移動して戻る。右足を大きく右横にステップ、左足を右足の後ろ第3ポジションにステップ、右足を少し小さく右横へステップ、右足でホップすると同時に、左膝を曲げてゆっくりと左足の右側が左足のふくらはぎの中央にまっすぐ地面と垂直になるようにつける。体が横に揺れがちになることに注意する。
 
 
4 フォーメーション
 
 多くの曲の中に共通に現われる一連の動きには、それぞれ名前がついています。例えば、プーセット、リール・オブ・スリー、キャスト・オフなどです。それらな動きを指してフォーメーションといいます。これらのフォーメーションを踊り慣れることによって、いろいろな踊りをスムーズに踊れるようになります。また、その踊り特有のフォーメーションもありますが、それらについては、テキストなどに特別に説明されています。
 
 ・ コーナー(Corners)
  第2組と第3組で作られた四角の中央で、第1組が背中合わせになり、男性の右前方に第3組の女性、左前方に第2組の女性がいるような位置に立ちます。そのとき、第1組の右手のパートナーは第1コーナーであり、左手のパートナーは第2コーナーです。第1コーナーと向かい 合うときは、第1組は背中合わせのまま少し右を向き、第3組の女性、第1組の男性・女性、第2組の男性が、直線の対角線を作ります。なお、第2コーナーと向かい合うときも同じ容量で対角線を作ります。
 
 セット・トゥ・アンド・ターン・コーナー(Set to and Turn Corners)
  これは、上記の形態から最もよく行われるムーブメントです。
  まず、第1カップルの男性は、第3カップルの女性とセットと行います(ご存じのとおり、セットとは、右、左の2回のパデバスクのステップを行うことです。)。そして、第3カップルの女性と両手をつなぎ、第1カップルの男性は、第3カップルのまわりを右回りにステップ2回で回転します。このとき、第3カップルの女性は、その位置のままで、第1カップルの男性は第2コーナー(第2カップルの女性)と向き合う。次に、第2カップルの女性と同じことを繰り返して、第2・第3カップルの女性の間に移動して終わります。
  一方、第1カップルの女性は、第2・第3カップルの男性と同様のことを行います。
  このフォーメーションは、リールとストラスペイのどちらの踊りにおいても行われます。リールの踊りでは、セットはパデバスク2回で行い、ターンは2小節できちんと回ります。なお、片手をつなぐときはスキップ・チェンジ・オブ・ステップで回り、両手をつなぐときはパデバスクで回るという規則を頭に入れてください。
  (以下省略)
 
フォア・ハンズ・アクロスFour HandS Across)
  1・2組の4人が右手を中央にあつめてスターを作る。1組男性と2組女性、2組男性と1組女性が握手のように手を取り合い、肩の高さに保つ。時計回りに4つのステップ、左手に組み替えて反時計回りで元の位置に戻る。
 
ライト・アンド・レフトRight & Left)
  1・2組がパートナーと右手をとって位置交換、相手側で男性と男性、女性と女性が左手で位置交換。再びパートナーと右手、次に同性と左手で元の位置に戻る。このとき、出来るだけ相手から目を離さず、スクエアを正確にたどる。
 
キャスト・オフCast Off)とキャスト・アップ(Cast Up)
  男女とも自分たちのラインの後に向かって外回りターン(ピボットで男性左、女性右回り)をして、ラインに沿って下がるのがキャスト・オフ。反対に、ターンしてラインに沿って上がるのをキャスト・アップという。
 
クロス・オーバーCross Over)
  (解説省略)
 
ダウン・ザ・ミドル・アンド・アップDown the Middle & Up)
  ダウン・ザ・センターともいう。男性が右手で女性の右手を肩の高さにとり、ラインの中央を下がり、取り合った手はそのままで内回りにターンして、ラインの中央を上がる。
 
セットSet)
  男女各4人がロングウエーに並んだ体形をいう。また、リールとジグの踊りでは、セッティング・ステップといった場合、右と左のパデバを組にしていう。セットするときは、必ず相手がいて、あいさつのような感じで行われる。
 
アドバンス・アンド・リタイアーAdvance & Retire)又はフォーワード・アンド・バッ ク(Foward & Back)
  (解説省略)
 
リール・オブ・スリーReel of Three)
                                                 
  8の字を描く最も英国的な動きである。例えば、A・B・Cの3人が一列に並んでおり、AとBが向かい合っているとすると、AとBがまず右肩を擦れ違えて位置交換、Cは少し右カーブをつくってAが来たところで左肩を擦れ違わして3人の動きに入る。
次は、CとBが右肩と いうようにして元に位置まで戻る。
 
リール・オブ・フォーReel of Four)
  (解説省略)
 
フィギュア・オブ・エイト(Figure of Eight)
  文字どおり8の字を描く。リール・オブ・スリーは3人の動きであるが、これは一人で立っている2人の人の周りをまわる。
自分のラインばかりではなく、クロスして相手のラインで8の字をして、再び自分の列ですることもある。
 
 アラモンド(Allemande)
  (解説省略)
 
 ダブル・トライアングル(Double Triangle)
  (解説省略)
プーセット(POUSSETTE)
  1・2組がラインの中央で両手をとる。男性は左足、女性は右足から始める。まず、1組は男性ライン、2組は女性ラインの方向に向かってパデバで進む(1、2)。お互いの右手を引き合いパデバでCWへ90度ターン、男性は下手を向き、女性は正面を向く(3、4)。1組 はラインに沿って下へ、2組は上へパデバで進む(5、6)、右手を引き合いパデバでCWへ90度ターン、男性の背は女性のラインを向く(7、8)。ラインの中央にパデバで進む(1、2)。右手を引き合ってパデバでCWへ180度ターン、男女とも自分のサイドに立つ(3、4)、両手を離して後方へ2パデバでさがり、1・2組は完全に位置を交換する(5〜8)。ストラスペイのプウセットは、4小節でダイヤモンド型で別の方法で行われます。
 
※ 途中、省略した箇所も多いですが、また次の機会に追加したいと思います。
 
第3章 踊りの例(現在省略)
                                            (M2.scd.ver.1.1)