初心者へのらくらく指導10年間(2002.3.9追加)

スコイタロベル ダンスを復活させたい男さんからの投稿です。

 

 

こんにちは

先日、Xさんとお会いしまして私の経験も聞いてもらいたくなりました。

 私が過去に実践した事をもとに 「初心者講習の心得」、なるものを述べてみます。何かの参考になれば幸いです。

 

目次

1 はじめに

 基本ステップと用語について

3 初心者用の解説研究

4 ベッサラビアタタロチカについて(NEW)

 

 

 

1 はじめに

 

  初心者をどう導くか、仲間に加わってもらう為には何を理解させるべきかただ踊るだけでは後々支障が出てくるものです。

せっかく仲間になったのなら日本中のフォークダンス仲間とも楽しく踊ってもらいたいものです。その為には先輩がほんとに楽しいと踊る事でしょう。初心者が覚えフォークダンスを家で、近所で、親戚で、電話で楽しく話せるようにさせてあげる事を目的にしたいと思います。 

ここ何年かは初心者といえば子離れしたご婦人方です。社会生活をしっかり営んできた彼女たちはそれなりのプライドがあります。その事を頭において、こちらは「らく」にみんなは「楽しく」 そして「フォークダンス好き」になってもらいたいのです。それからサークルの運営は自分達でやる、長く続けるには会員の結束が大事であってその手段は自分達で決めさせる。効果があったかどうか、9年ほど前に出来たサークルが2つ、今もメンバーが殆ど変わらず楽しく踊ってくれています。

 

 

2 基本ステップと用語について

 

   普段指示されて動いていないので「右」「左」を連発すると余計分からなくなる。

   云われたとおりできているかどうか自分の足でさえ見る事になる。姿勢が悪くなる。

   カップルでは「男性」「女性」も出来るだけ使わない、そこにいるのは女性ばかり焦ったり相手がミスったりするとおかしくなる。

   「円内」と「円外」を一緒に使わない「enNai」「enGai」、NとGの違いでしかないので音が反響したり、ざわついていたりするとどっちなのか分からないので 「円心へ」「円のそと」など 言葉の「オン」が重ならないよう気を付ける。

   解説書では簡潔明瞭に書いてあるが、初心者には通じないものと思うべし。そこで言葉や方法を工夫しなければならない。

 

手をつなぐ  : サークルになって最初にする事は手をつなぐ事である。日本の踊りにはない。

                   全員同じ時と男女交互の時と、一回りしてすぐつなげるようにしておく。踊りの途中で悩む人が多い。

 

ウオーク:    歩く事は基本中の基本である。カウントや右、左よりも、みんなで歩きながら手拍子でリズムを取ってやるとスムーズに出来る。

   

ツーステップ : 歩きながら足をすばやく取り替えさせればよい。行進の時前の人と違っている足を取り替えた事は誰でもあるはず。

                 @A取り替えてーAA取り替えてー、できたら「それがツーステップです。」と云うだけである。

 

ワルツ  :  その手拍子をワルツのリズム@強く、A弱く、B弱く、とやればそれらしく歩くようになる。

                                             (それがワルツステップですといえばよい)

                 「指導の手引き」にあるワルツステップで踊るものはない。閉じた足から出たりして直す苦労が増える。

 

グレープバイン :

                   @   手をつなぎ円周上をあるかせながらリズムに乗せる。

                   A   歩幅を小さくし、そのまま爪先(身体)を円内に向けて歩かせる。

                   B   前に交差している足を意識させ、その足を後ろに交差させて続ける。

                   C   前交差とうしろ交差を数歩づつ交互に続ける。

                   D   そして一回づつ交互に行う。反対方向もやらせてみて出来上がり。

                どのステップでもそうだが、説明する時に下を向いてしまうものです。当然初心者も下を向いて真似をします。ですから指導する時には下向かなくて済むような工夫が必要になってくるのです。この方法でやれば今までのように下を向かないで短時間で確実にものに出来る。形が出来ればブドウの房の粒粒を伝わって落ちる水のようにとか、色々なスタイルのある事も

              プラスして説明した。

 

 進行方向   :  L O Dがどうして進行方向なのか理解させる。

                   陸上競技のトラックやスピードスケートの方向と同じで、左にある心臓を守る意識から人込みの通行では自然と左に寄る傾向も説明した。

 

 右回り 左回り(CW,CCW) : 顔を右(左)に向けさせて向いている方にその場で回らせる。

                                         「・肩をひくように回る」では通じない人が多い。 「時計回り」も意味の分からない人がいるので説明が必要。

 

 ワルツ(カップル)ターン :

 

                     @ 全員円の中を向かせ、LOD側の足から3歩で外を向かせる。

                         次もLOD側の足から3歩で円内向きにさせる。これで1回転。

                         拍手をしながら「外 ・向 ・き」「中 ・向 ・き」と練習する。

                     A カップルの時はしっかりとクローズドポジションに組ませる(自分の足が見えないように姿勢よく)。

                         1小節ごとに内と外の位置交代で向きが変わる、外へ出る人が大きく回り込み、中へ入る人は小さく軸になるように。

                     B 1小節ごとに外向き、中向きが確認できるように、1回転毎にもとの向きに戻る事も。

                      指示されたとおりできたことが自分で確認できて喜ぶカップルもいた。 ツーステップターン等にも応用できる。

                      足の向きや幅の事をくどくど説明するとみんな下を向いてしまい、1回転できなかったり、目が回ったり方向が違ったりする。

                     「中へ入る人が小さい歩幅で軸になるように」と見本を示すと納得する。

 

                 その他のステップは省略。

 

    まとめ

        立ったままだと疲れるので、手拍子をしながらリズムを取って歩かせる。

               動く方向、体の向きをはっきりさせる。

               半信半疑の時は隣同士やカップルで確かめたいもの、おしゃべりは大いにさせるべし。その動きから何が不足なのか学び取る

               事 が出来る。禁止すると表情が硬くなる。

 

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 3 初心者用の解説研究


     あくまでも「初心者に踊りを楽しく納得してもらえるように」で、こちらとしては楽に。
    何時の頃からか、講習会で紹介される踊りは、資料にも書いてある通りの形だけになってしまった様な気がする。
    カウントと手の位置足の位置、身体の向き顔の向き、ステップと進行方向、・・・・。ラジオ体操と何ら変わらないではありませんか、質問されても「解説書にそう書いてある」「こう習いました」では、してほしい動作(踊り)が身につかない事が多いものです。
    正確なステップは出来なくても、初心者にはリズムと方向をしっかり覚えてもらい、そしてその動作、踊りの意味を伝える事で理解しやすく    楽しく踊ってもらえるのではないかと、私なりの解釈で取り組んでみました。

3−1 「勝手に解釈、楽しく踊ろう!」


  フォークダンスの三種の神器は、昔踊った事がある、でも中身までは?だと思います、再認識して楽しく踊ってもらう為にも工夫しました。

@マイム マイム(水、雨)
    手がきれいにつながっている事「つながっていないところは水が漏れるよ!」という。全員で気持ちをあわせる事など手をつなぐ理由。

    イスラエルの国土の事や水の大切さも。

Aコロブチカ(行商人の行李)
   ロシアにも行商人がいた事、自分達の回りにも行商人がいた事を思い出しながら踊ってもらう。
   行商人が来たけれど、行李を持って家に入れるかどうかためらう。行李の中にははやりの衣裳や、素敵な宝石 アクセサリーが入っていると  云えばつないだ手は振らない。自分の身につけてみて「似合うかしら」「気に入ったワ!」と拍手、(足のしぐさは値段の交渉?)商談成立。「買いましょう」で拍手。そして隣の家へと続きます。新たな気持ちで楽しく踊ってくれました。特に拍手の時の表情はとてもいい。

Bオクラホマ ミキサー
   アメリカスタイルでのお近付きの挨拶として、踊りながら自己紹介をしてもらいます。(原点は追求しません)

Cスコイタロベル ダンス(スカンジナビア)
   楽しく遊んでいる時に突然稲妻が、ピカッ!(驚きの動作)、ゴロゴロ(雷コワイ!)お互いの腰を抱えて回るユニークなスタイルが一層楽しく出来ます。昔夕立の中でも走りまわって遊んだ光景がよみがえります。ぜひ復活してほしいものです。

Dヴォ サドゥ(果樹園で)
  果物(りんご、ブドウ、梨)の取り入れの踊り。腰に取る手は籠。ハンカチーフは果物です。
 ・果樹園でりんごを採って籠に入れながら進みます。伸ばした時と曲げた時の手のひらの向きの違 い、腰に取る手の手のひらが上向きも自然に  出来ます。
 ・横へ、高い枝のは背伸びして取る。地面はでこぼこ、オットット!。
 ・いっぱいになった大きな籠を両手で支えながら戻ります。
 ・「たくさん採ったよ!」「私だってこんなにヨ!」両手で大きく表現。
 ・二人でりんごを食べながらお話して。美味しいネ!。腕を曲げるのが先だと云う事をを意識させました。
    :「親指前で腰に取る」はやっていない人が多いと思っていたら、最近の復活版ではどうでもいいようになってがっかりしています。
   ロシアンステップは音楽をかけて見本を見せるだけで真似が出来るので何回も繰り返す。カットステップも「つまづいた!」だけで出来る人も居る。もちろん踊れるようになったらきちんとしたステップと、「果樹園でりんごを採っている見知らぬ二人が、お互いを意識して次第にひかれる、打ち明けたいがモジモジとじれったい、思い切って話をしたら意気投合、やっと二人は組んで踊る事が出来ました愛でたしめでたし」と、佐野先生の言葉を引用してロマンチックな踊りだと云う事を伝えました。後にみんなが赤いハンカチーフを用意していました。

Eテネシーワルツ(ラウンド、アメリカ)
 ・初心者が知っている音楽での踊りは自分でも音楽を口ずさみながら練習する事が出来るので便利である。この踊りはリズムに合わせて、始めから終わりまで足踏みを続ける事と身体の向きを指示すれば苦労しないで踊る事が出来る。

Fホタ コルドベサ(アルゼンチン、一目ぼれ)
 ・南米特有の開けっぴろげで積極的な一面がよく出ている踊りである。
 ・通りを歩いているといい娘がいる、一目ぼれしてデートを申し込む、一度は断られるが二度目でOK!デートを楽しむ。気をよくして結婚を申し込むが断られる。ひるまずもう一度。今度はOK。組んで仲良く回ります。「断る」という事で女性が先に回るというタイミングのずれがごく自然にできて、しかも雰囲気が出て楽しく踊れました。

Gあきあじ音頭(池田町)
 ・日本フォークダンス連盟が取り上げた中で、一番身近な踊り(フォークダンス)として知ってもらう。
 ・4年ぶりに大きくなって十勝川に戻ってきたアキアジ(鮭)を小舟の上から網で採る。たくさん採れるので艪をこぐ動作に力が入る。オールと艪の違いを知ってもらう。十勝の秋の風物詩であり雰囲気が分かりやすい踊りであるが、艪をこぐ動作はさすがに難しい。

H祖谷の粉挽き節(徳島県)
   北海道ではなぜか人気のある踊りである。
 ・祖谷渓谷に懸かるシラクチカズラで出来た吊り橋を顔を半分隠し足探りしながら恐る恐る渡り、やっと部落へ帰る、戸を閉めて埃を払い石臼で粉をひき大切にしまう。平家の落人が隠れ住んだといわれる四国の山奥の雰囲気がよく出ている。挽いていたのは「そば」とも。

 

Iベッサラビアとタタロチカ
  初心者も子供もすぐに楽しく踊ってくれるタタロチカ、しばらくしてから踊ってもらうルーマニアのベッサラビア。同じ動作の踊りが別の国にあるという、疑問を持たせて外国の地理や歴史、文化を勉強する機会を作る事もフォークダンスに興味を持たす手段の一つである。

     

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4 ベッサラビアタタロチカについて

 

ベッサラビアとはルーマニアのフォークダンスである。タタロチカはロシアの踊りであるがベッサラビアの後半の踊りはタタロチカそのものである。離れた国に同じ踊りがあるのはなぜか?

 ルーマニアは東ヨーロッパ、バルカン半島の北部に位置する国で、ロシア南西部と接する東部地域は特にロシアのモルダビア共和国を含めて「ベッサラビア」と呼ばれている。ルーマニア共和国には、ルーマニア人が88%、ハンガリー人が8.5%、ドイツ人が2%、その他1.5%の(トルコ、タタール、セルビア、ユダヤ)人が住んでいる。色々な人種がいると言う事はそれだけ、文化、習慣、生活があると言う事になる。北部のトランシルバニア地方にはドイツ、ハンガリーの踊りがあり。南西のほうには「ホラ」系の踊り、そして東のほうにはトルコ、タタールの踊りがある。これはルーマニアの長い歴史の間ローマ、トルコ、ドイツ、ロシアなどに侵略や征服をされているので踊りにもその影響がうかがえて興味深いものがある。

 一方タタロチカは、タタール自治共和国の踊りである。タタールはロシア連邦共和国に属しモスクワからはまだ東のほうにある。タタールには、タタール人はもちろんであるが、ロシア人、チュバシ人、モルドバ(ルーマニア)人、マリ人等が住んでいる。民族が同じなら同じ踊りがあって当然である。これは他の踊りにも見られる事であり、これがフォークダンス(民族舞踊)と云われる所以でもある。

 ここからは余談になる。

 その@ タタール人は北方トルコ系の人の事でモンゴル語ではダッタン(韃靼)人となる。ロシアの作曲家、ボロディンの作曲した「イーゴリ公」と云うオペラの中に「ダッタン人の踊り」と云う曲があって、遊牧の民ダッタン人の野営の場で踊られる男性中心の勇壮なバレエだと云う事であるが、この中に「タタロチカ」があるかどうかは誰か調べてほしい。

 そのA ロシア大陸とサハリン(樺太)の間にある海峡は、日本の探検家間宮林蔵が発見して後にシーボルトが「間宮海峡」と名付けた所である。しかしロシアでは十三世紀モンゴルの英雄チンギス・ハーン(ジンギスカン)によって征服された名残からかここを「タタール海峡」と呼んでいる。

そのB  タタールはまたタルタルとも云い、独特の調味料を使っていて、それはタルタルソースと呼ばれていた。タルタルソースは何に使ったか?それはタタール人の食べ物(当然、肉で鞍の間にはいつも肉が挟まれていて食べる時にはちょうどいい柔さになっている。)にであり、それがまた兵士達によってドイツに渡り、改良されて更にアメリカへ、ドイツの街の名前(ハンブルグ)が付いて「ハンバーグ」「ハンバーガー」になっていったとか。今は逆輸入されてロシアでも大人気だそうである。

 Oct’1995

 

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(ありがとうございました。次回も期待したいと思います。by mm−page)